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 フォーラム21の例会や研究会などの活動内容を紹介します。


 第53回例会


■日時:2010年7月22日(月) 18:00〜

■会場:中部電力(株)若竹クラブ3Fホール

■講演:「環境・省エネ・技術者NET&健康・神仏(60歳台を前向きに生きるキーワード)」

■講師:湯浅技術士事務所 湯浅達夫氏

■内容
 湯浅氏は平成9年に発足したフォーラムの初代委員長であり,会社を定年退職後も省エネルギーに関する仕事に数多く関わっておられる。今回は,これらの経験に基づく省エネルギーを取り巻く課題などを紹介していただくとともに,今も現役として活躍することができる秘訣を伺うことができた。以下に内容を要約して紹介する。

(省エネルギーについて)
2007年の国別CO2排出量は中国が最大である。一人当たりでは中国は日本の半分であるが,もし日本と同レベルになったら,エネルギーはどうなるのだろうか?また,日本は石油依存度 100%であるにも関わらず,エネルギー危機に対する政策がない。さらには,日本のフードマイレージは世界で断トツであり,第二位の韓国の約3倍である。これらの現実を認識しての危機感が,自分が省エネルギーに関わる仕事に関わっている動機になっている。
今年4月に省エネ法が大改正され,事業所単位から事業者単位になった。これにより特性連鎖化事業者としてコンビにも規制対象になった。おおむね1店舗45kL程度であり,10000店舗あると450,000kLにもなり巨大なエネルギー消費企業である。一方で,産業分野のエネルギーは増えていないといわれているが,実は海外にシフトしただけかもしれない。
名古屋市の事業者向け対策としては,比較的大規模の800kL以上の事業所向けには,地球温暖化対策計画書を提出する制度がある。これに対し,中規模に対してはアドバイス事業をしており,氏が担当している。アドバイス内容は,市が作成したパンフレットの説明,エネルギーの見える化支援,省エネに関する情報提供などである。
2008年には約200軒のスーパーやドラッグストアなどにコンサルを行った。この経験からいろいろな問題点が分かってきた。例えば,ある食品スーパーチェーンでは,平均428kL/店舗×89店舗=38,000kL ものエネルギーを使っているのに,エネルギーのことを分かる人は,本社に1人いるかいないかという状況であった。ドラッグストアでは64 kL/店舗×482店舗=30,000kL程度の規模であるが同様であった。
これらの店舗では店長の異動が多く,省エネのための装置があっても使いこなされていない。換気設備の運転しっぱなしも目立ち、そもそもスイッチがどこにあるのかも知られていないような状況である。また,冷蔵ショウケースの冷風がだだもれとなっており,結果としてショウケースで店内を冷房することになり効率が悪い。
ドラッグストアではHfインバータ蛍光灯は比較的普及していたが,省エネ意識自体は低い
エネルギー原単位もよく理解されていない。また実際に原単位計算をしてみると,1つのチェーンでも,店舗ごとに162〜600L/m2まで異なる例もあった。よって,原単位評価は難しい面もある。
ビルではライフサイクル全体で排出するCO2のうち,運用段階では排出が半分以上であると言われている。しかしその量は,設備の仕様により決定される。よって設計者は設計の段階から積極的に省エネルギーを提案すべきである。
電気設備技術者もエネルギー全般にまで活躍の場を広げるとよい。例えば,吸収式冷凍機を電気式に変える事例が多くなっているが,これを電気設備技術者は自分の領域外としていることが多い。また,空調設備技術者は電動機やポンプ・ファンなどの本質的な技術の理解が十分とは思えない。よって,インバータを設置したが省エネ効果が得られない事例が結構あるようだ。
省エネルギーは境界領域の新しい技術分野として研究されるべきである。


(技術者NETについて)

会社を離れて仕事をしていくには,人の付き合いが大事である。電気設備学会,技術士会,名古屋市環境局地球温暖化対策室省エネルギー指導員,省エネルギーセンター専門員,中小企業技術顧問,中部ビル省エネルギー研究会などでの人脈が役に立っている。
期限のある仕事に意識的に挑戦することも必要である。

講師の湯浅氏

講演風景

懇親会風景


以 上



                       (報告者:(株)トーエネック 小林 浩)

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