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第52回例会
■日時:2010年2月17日(水)17:00〜18:00
■会場:中部電力(株)若竹クラブ3Fホール
■講演:「LED照明の現状と今後の動向」
■講師:パナソニック電工(株) 南波克紀氏
■内容
- 地球温暖化防止が世界的な潮流となる中、照明のCO2削減も世界的に取り組みがなされている。
- LED照明は、CO2削減を実現する技術として期待が大きい。
- 白熱灯は、世界的に禁止される動きがある。
- 白熱灯が全てLEDに変更されると、年間430万tのCO2削減になると試算されている。
- 今年度の改正省エネ法の施行が、さらにLED照明への期待を大きくしている。
- LED素子の発光効率は理論的に300lm/W、現実的な上限は200〜250 lm/Wと言われている。(現状は120 lm/W程度)
- 半導体材料によってさまざまな発光色が得られる。
- 現在の白色LEDの主流は、青色LED+黄色蛍光体のタイプ
- LEDの明るさは電流に比例する。電圧変動で電流が大きく変動するので、定電流制御を行う必要がある。
- LEDダウンライト等では、スイッチング電源を使用しており、低消費電力の器具では、簡易な電源方式を採用している。
- LEDの問題の一つに、色温度のばらつきがある。LEDそのものと蛍光体のばらつきにより生じる。照明器具に使用する場合には、選別が必要となる。
- 白色LEDはRa70ぐらい演色性である。LEDや蛍光体の色を調整した高演色タイプもあるが、効率は低くなる。
- LEDの寿命は光束維持率が70%となるまでの時間を言う。
- 白熱灯1,000〜3,000時間、蛍光灯6,000〜24,000時間の寿命に対し、LEDの寿命は40,000時間と長い。
- 寿命は短時間の加速試験と寿命推定式(アレニウスプロット)から推定している。
- 寿命に大きく影響するパラメータは、ジャンクション温度であり、この温度を低くして長寿命化を図っている。
- 温度が寿命に大きく影響するため、器具設計においても放熱設計が重要となる。
- 素子のレベルでは、砲弾型より表面実装型のほうが放熱特性がよいので、高出力化が可能となる。
- LED照明器具としての発光効率は80 lm/W程度である。温度や電源の損失等で効率が低下する。
- 現在、効率は年々上昇しており、2011〜12年には、蛍光灯器具の効率を上回る見込みである。
- コストは、白熱灯を1とした場合、蛍光灯は4で、白色LEDは7ぐらいの差がある。
- コストや効率、グレアなどの理由から一般照明としての利用は時間を要する。
- 最近、特にベンチャー企業等の直管タイプのLED照明が多く市販されているが、LED照明器具は規格の整備が遅れているため、性能や表示方法が各社で統一されておらず、混乱を招いている。
- 電球工業会では、7社の直管タイプのLED照明について、さまざまな試験を行い、安全面、性能面での問題を指摘している。
- LEDの次に期待される光源として、有機ELがある。
- 現在は発光効率が悪く、ディスプレイ等への採用に限定されているが、2020年頃には、一般照明用途としての利用が予想されている。
- 特に面光源としての利用が期待される。
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