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 フォーラム21の例会や研究会などの活動内容を紹介します。


 第48回例会


■日時:2008年9月11日(木) 18:00〜

■会場:中部電力(株)若竹クラブ3Fホール

■講演:「電食防止について〜中部電食防止委員会の活動〜」

■講師:名古屋工業大学大学院工学研究科 鵜飼裕之氏

■内容
電食とは腐食現象の一種であり、ガスや非電解質により発生する乾食とは違い、バクテリアなどによる自然腐食と同じ系統の湿食という分類にある。『電解腐食』の略。
電食の主な原因は地中を流れている『迷走電流』である。この迷走電流は電鉄のレールに流れる電流が地中に漏れ、地中を流れて管に入り、電食を発生させる。
鉄道を動かすとレールから電流が漏れ、電食が発生する事に対し、対策の検討を目的として電食防止研究委員会は1933年に設立され、現在は電気学会の委員会として存在している。
電気防食法が1951年に初めてわが国で適用された。
電食防止対策委員会は現在『東京・関西・中部・中国・新潟』と5つの委員会が独自に活動を行っている。
中部電食防止委員会は現在51社が加盟しており、『電食防止設備の設置状況を確認・影響調査』を行っている。活動は年3〜4回。
新線開業等に伴う漏洩電流試験と干渉調査も行う。
金属は土壌に埋めると自然に腐食する。これを“自然防食”という。直流の(+)極に接続して埋めると激しく腐食し“電食”となる。逆に、直流の(-)極に接続すると“電気防食”となる。
自然腐食と電食は“観察による判別法”と“電気的判別法”がある。
腐食の原因は対地と埋設間との電位であり、埋設間の電位分布により電食の度合いが変わる。
鉄道の回生ブレーキを使用する動作に対しても電食は発生する。
鉄道のレール対地電圧は変電所の間では上昇している。決して均一の電位ではない。これにより変電所の間が腐食発生地域となる。
埋設管のB型電飾という現象もあり、埋設管が電食するのは埋設管と鉄道レールが平衡しているときだけではく、位置関係が垂直のときにも発生する。
日本では交流鉄道のレールに電流が流れないようになっているため、電食は見られない。
送配電系統による地電流が電食に起因しているといわれているが、実態は明らかではない。
欧州では電鉄の周波数が低い(16・2/3Hz)場合には、影響が無視できない。
電気的防食には、『漏れ電流を打ち消す電流を流す』方法の“流電陽極法”と“外部電源法”があり、『漏れ電流をレールに返す』方法の“排流法”がある。
実用的防食基準として対地電位基準が実用的な値として示されている。これは環境などによっても変わってくるので、あいまいな値である。
電気防食の研究課題として交流電食のメカニズムや実態調査、交流電食を考慮した電気防食基準の策定と計測法が挙げられる。また、電食防止装置と電鉄線路の地理的関係による迷走電流分布の解析などについても、迷走電流マップを作るなどして研究していきたい。
■感想
普段はあまり耳にしない“電食”について詳しく知ることが出来た。非常に深い分野であり、驚いた。
直流電食に対してメカニズムは明らかになっているが、交流電食に対しては明らかになっていないと知った。これからの研究動向が気になるところである。

以 上



                       (報告者:(株)トーエネック 西戸 雄輝)

鵜飼先生
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