フォーラム21の例会や研究会などの活動内容を紹介します。 | ||
第32回例会 ■日時:2004年8月20日(金) 18:00〜20:00 ■会場:中部電力・若竹クラブ会議室 ■演題:「瓦の歴史と三州瓦の現状」 講師:愛知県陶器瓦工業組合 事務局長 井上 昇 氏 ■内容 (1) 日本の瓦は西暦588年に百済から4人の瓦工が渡来し,最初の仏寺である飛鳥寺の瓦を作ったのが始まりとされている。 (2) その後全国に普及したが民家の屋根に使用されるようになったのは江戸時代になってからである。 (3) 三河地方での瓦産業の定着は室町時代からというのが定説である。発展した理由は@矢作川流域の洪積台地の下に良質な粘土が豊富に産出した。A高浜など良港が近くにあった。B当時の三河地方は幕府の直轄領で,奨励を受けやすかった。 (4) 瓦は製法と形状によって分類される。(JISで規定されている) (a)製法による分類:@無釉瓦,Aいぶし瓦,B釉薬瓦 (b)形状による分類:@本葺瓦,A和型(J型),BS型,C平型(F型) (参考:F型についてはJIS規格が後追いになったため各社独自寸法も認められている。またハウスメーカは品質管理要求が厳しいので各瓦メーカはJIS規格よりかなり厳しい品質管理をしている。) (5) 全国各地に瓦産地があったが,昭和48年の第一次石油ショックを境に住宅着工数も減り,合理化の遅れた地方の産地は縮小していった。瓦工場の多くは中小企業である。 (6) 全国の瓦の出荷は平成14年は約104万枚。それでもピークであった昭和48年の約半分である。このため愛知県陶器瓦工業組合では販路拡大にむけ豪雪地や寒冷地向けの製品開発なども行っている。(融雪瓦など) (7) 大きな瓦産地は3つで三州,石州,淡路である。それぞれのシェアは三州54.7%,石州17.8%,淡路12.2%である。(三州:三河地方,石州:島根県) (8) 三州瓦も合理化が進み,工場数はピーク時の1/3,従業員数は約1/2になっている。 (参考:瓦の価格は専門業者向けの工場渡しで100円/枚 程度) (9) 粘土瓦は他の屋根材に比べ断熱性,耐久性が優れている。 (10)瓦の製作は自動化が進み,乾燥,焼成の長いラインができており,ラインをとおって完成した瓦が出来上る。(参考:焼成は70〜90mのトンネル窯内を15〜18時間で移動させて行う。窯内の温度は1130〜1150℃) (11)製造工程で発生する不良品は5%前後であるが総量は年間約10万トン前後で,シャモット工場を建設し不良品のリサイクルを実施している。 (雑感) 生産の合理化を進め,厳しい品質管理,廃棄物のリサイクル,新製品開発(融雪瓦)などいろいろなことを行っていることがよくわかった。今回身近ではあるがあまりよくは知られていない瓦ついて多くのことを知ることができ大変有意義であった。 (報告者:(株)トーエネック 箕輪 昌幸) |
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講演風景(講師の井上氏) 会場風景 |
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